Okta 社はオフィス再開を知らせるためにデータを活用しました

自社のアプローチと、リモートワーク実施企業に向けてより効果的なデータ活用方法を紹介するソフトウェア会社の実例

WeWork Galleria Office Tower I(ヒューストン)写真:WeWork

ビルの入居者やブローカーは、パンデミックによって余儀なくされた前例のない変化に適応しようとしています。職場は永久に変わりました。これまで長きにわたって有効だった戦略は、もう通用しません。仕事の構造が新しく生まれ変わった今、企業はコストやポートフォリオだけではなく、最も効率的で持続可能な道筋を描くために、職場の使用状況に関するデータを求めています。

最近行われたウェビナーで、WeWork のビジネス開発担当シニアディレクターである William Sandford は、ソフトウェア会社の Okta 社のグローバルワークプレイスサービス担当 SVP である Armen Vartanian 氏、および Vertis 社の共同設立者兼社長である Sam Hocking 氏と、2022年を迎え、リモート企業が職場構築のためにどうしたらデータをより良く活用できるかについて話し合いました。ここでは、その中からいくつか重要な点をご紹介しましょう。 

従業員の体験がこれまでになく重要に

適切なオフィススペースを確保することは、単に面積や立地のニーズを満たすだけではなくなってきているという点に両氏は同意しました。Vartanian 氏は、ダイナミックな環境の中で、ビジネスや従業員の要求に応えるためには、自分のような役割を拡大する必要があると語っています。

「新型コロナウイルスのパンデミックと大量退職によって、従業員の体験、そして分散型の雇用の枠組みがこれまでになく重要になっているため、従業員の体験はすべてのリーダーが真に注力すべき分野に組み込まれています」と、同氏は言います。

パンデミック前に Okta 社の従業員は約 30% がリモートで働いていましたが、Vartanian 氏によると、オフィスの所在地以外の市場での採用は、現在 60% 近くにのぼるそうです。課題は、企業がジオロケーションについて慎重に考慮したうえで採用することだと指摘し、こう話しています。「貴社がもし対面でのやり取りを重視して、柔軟性を維持しつつ、従業員が企業文化に合わせ、組織とのつながりや帰属意識を感じられるようにするには、採用する地域に関する戦略的計画がなければなりません」。

リーダーたちは、コストではなく、従業員のエンゲージメントや稼働率を重視して戦略を立てていると、Sandford は言います。「職場での決定は、新しい出勤モデルによってこれらの目標が達成されるように、ビジネス、財務、人事の各部門のリーダーの定足数によって行われることが多くなっています」。

情報に基づいた意思決定の増加が従業員の幸福度を高める

Vertis 社の Hocking 氏は、多くの企業の経営モデルで著しい変化が起きていることに気づき、データを活用してそうした変化を促進しようとしています。

「データは従業員の居場所をマッピングできます」と同氏は言います。「そして、これらの地域でどのような不動産リソースを持つべきかを検討できます。我々は、WeWork との柔軟な戦略を必要としているだろうか。長期的要件は何だろうか、と」。

しかし、それは最初のステップだと Hocking 氏は言います。「そして、リモート、ハイブリッド、フルタイムというように、働き方によって従業員を分類することができます」と続けます。「このデータを多く取得するほど、可視化され、分析が可能になります。そして、それが戦略の決定に役立つことになります」。

従業員の体験は重要であるため、すべてのリーダーが真に注力すべき分野に組み込まれています。

Armen Vartanian、Okta 社グローバルワークプレイス担当 SVP

他の多くの企業と同様に、Okta 社も生活費や不動産コストのデータを評価していますが、従業員の移動パターンなどのデータにも注目していると Vartanian 氏は言います。「異なる地域のどこで、エンジニアは実際にコーディングしているのでしょうか。このような独自のデータを得ることで、柔軟な採用モデルのあり方を戦略的に考えることができます」。

パンデミック前は、企業は従業員がどこに住んでいるかをあまり気にしていなかったと、Hocking 氏は指摘します。しかし、今は違います。企業は、従業員の近くにオフィスがあれば、従業員がもっとオフィスに出向く気になるのではないかと真剣に検討しています。パンデミックの影響で、企業はオフィススペースのデザインや使用方法を全般的に見直すようになりました。

「採用方法、採用場所、スペースの設計方法などを決定するための良い機会です」と Vartanian 氏は言い、こう続けますます。「異なる市場での雇用を統合し、それらの従業員が時々、あるいは定期的に集まる機会を設けなければなりません」。そのような環境は、持続可能であるだけでなく、コミュニティ意識、コラボレーション、関係の発展を促進するものでなければなりません。

「WeWork のお客さまの多くが、人材とワークスペースの関係の進化について Okta 社と同様の見解を持っていますが、そこに至るまでの明確な道筋を持っているお客さまは少数です」と Sandford は語ります。さらに、「市場、ビジネスユニット、あるいは企業全体で新しい仕事の仕方を慎重にテストすることで、企業は今後何年にもわたって競争力のある、協力的な職場環境を作るために必要なデータを集めることができます」と付け加えています。

全員のためのスペースを望ましい方法で作り出す

WeWork All Access のメンバーである Okta 社は、昨年末に、オフィスに出入りする人の増加に気づきました。同社はここ数年、特定のチームに割り当てられたデスクが点在する「ネイバーフッド」を中心とした、より柔軟でダイナミックなデザインへと移行してきました。

「従業員が毎日来るわけではないことがわかっているので、比率を設定しています」とVartanian 氏は言います。「チームでコラボレーションするためのタッチダウンエリア、デジタルホワイトボード、Zoom 用の設備などを用意しているため、チームはグループセッションを行うことができ、自宅では必ずしも再現できないテクノロジーをオフィスに出社する従業員に提供できます」。

それらとともに、センサー、モバイルバッジ、スマートロッカー、ワークスペースアプリなどを用いて、従業員のパターンを追跡しています。「私たちは、特定のタイプの設計が施された会議室の利用率を追跡しています。従業員はこの柔らかな座り心地の椅子やソファーのエリアをどのように使っているだろうか。スペースをコワーキング風に、あるいは空港のラウンジ風に設計すると効果的だろうか、という具合です」とVartanian 氏は言います。「丸一日を過ごす人ばかりではないことも承知しています。1~2 時間立ち寄るだけの人が、仕事をするための席を必要としている場合もあります」。

長期と短期を比較して再考する

文化全体と、個々の組織における職場文化の両方のダイナミクスが変化しているため、解決策を見つけてそれを維持するという考え方は時代遅れのように思えます。そうした考えを捨て、職場のソリューションは進化し続けるものと考えるべきでしょうと、Hocking 氏は言います。

「その影響と言うと、従業員はよりアジャイルになってこの状況をダイナミックな状況と考えるようになりました。それは、パンデミックの収束とオフィス再開に基づく仕事の仕方が始まれば解決されるだろうと思っていたものとは異なります」と Hocking 氏は言います。「従業員は変化を求め、雇用主は適応する方法を探そうとしています。この状況をよく表したチャーチルの名言があります。『今、これは終わりではありません。終わりの始まりでもありません。しかし、おそらくそれは始まりの終わりでしょう』」。

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