リモートチームを管理する際のヒント 16 選

働く人の分散化が進むいま、マネージャーはリモート社員を適切に管理する方法を学び、適応していく必要があります。

自宅、カフェ、コワーキングスペース、サテライトオフィスなど、遠隔地からのテレワークは、労働環境の柔軟性とバランスを求める声が大きくなるにつれ、ますます人気が高まっています。実際、アメリカの国勢調査からのデータによると、2017 年に自宅から仕事したことがある人の数は 800 万人 で、現在の労働環境の動向では、その数が今後さらに増えることを示唆しています。 

会社組織 に在宅勤務によるリモート作業を取り入れることのメリットはたくさんあります。雇用する人材を探す際も、地理的な条件に縛られなければ、幅広い選択肢の中からベストの人材を選べるだけでなく、異なった地域から多様な背景を持つ人材を獲得し、職場のダイバーシティ を促進する際にも非常に役立ちます。従業員にフレキシブルな勤務体制を提供することはまた、ビジネスの二酸化炭素排出量だけでなく、従業員の通勤コストの削減にもつながります。調査によると、リモート仕事のオプションがある従業員は、そうでない人に比べてよりワークライフバランスがうまくできていると感じていることが明らかになっており、またそれが 生産性 や全体的な幸福度の向上につながり、究極的には企業にとってもコストの節約につながることがわかっています。  

でも、リモートチームを管理するのにはそれなりの課題が伴います。対面でのコンタクトがなければ、個人的なつながりを確立し、従業員との信頼を築くことが難しくなる可能性もあるからです。社員がリモート作業に移行すると、マネージャーは 自分のチームの働き方が見えなくなる ため、最大限のポテンシャルを引き出すためには、異なったコミュニケーション手段を色々と試してみる必要があるでしょう。 

非常に多くの人が 柔軟な労働環境 を求めている今、マネージャーはこの新しい仕事のスタイルに適応する方法を学ぶことが重要です。適切なツールやヒントを活用し、たとえ社員の姿が見えなかったとしても、彼らが生産性を落とさず仕事に従事できるようサポートしましょう。 

リモート社員を上手に管理する方法

1. ビジュアルツールやチャットツールの活用 

今や、便利なコミュニケーションツールは無数に存在します。リモート社員を効率的に管理するには、そのようなテクノロジーを活用することが不可欠です。効果的なコミュニケーションを支援し、リモート社員がチームの一員であると感じられるように、適切なツールでチームをセットアップしましょう。

WeWork The Landmark(グアダラハラ)

ただし、すべてのツールが同じ機能を提供するわけではありません。例えば、チャットツールを使って社員のパフォーマンスや評価について話をするのは避けた方が良いでしょう。そのような会話は感情的になりがちで、より個人的なつながりを必要とする性質のものだからです。代わりに、リモート社員と直接会うことができない場合には、ビデオチャットでパフォーマンス評価を実施する方が好ましいでしょう。

Slack や Google チャットなどのツールは、素早いコミュニケーションやカジュアルな会話に最適です。Zoom や Google ハングアウトなどのバーチャル会議ツールは、チームのミーティングに使用すると最も効果的です。ほとんどのバーチャル会議ソフトウェアでは画面を共有できるため、世界中のどこにいても、チームは同じ資料を見ることができます。

2. 期待することと期限の設定

社員側は、何を期待されているのかがわからないままでは、良い仕事ができるわけがありません。これは、社員が 1 日を通して何に取り組んでいるのかが見えにくいリモートチームの場合は特に困難です。そのような場合、プロジェクトの明確な期限を設定すると便利です。何かを「迅速に」行う必要があると言うのは主観的です — 「迅速に」とは 1 時間以内のことを指すのでしょうか?それとも、1 日の終わりまで、という意味でしょうか?

返答までの時間、勤務時間、コミュニケーションの頻度など、リモート社員に期待されることは最初に明らかにしておきましょう。また、そのようなリモート社員に期待されることの内容は、オフィス内で働く社員に対するものと一致させ、矛盾がないようにすべきです。

3. 1 対 1 のミーティングを定期的に行う

定期的な 1 対 1 のミーティング は、マネージャーが社員とつながり、仕事の進捗状況をチェックし、時には信頼関係の醸造にも役立ちます。リモート社員は、あなたと同じスペースで働く直属の部下とは異なり、オフィスで偶然すれ違うようなこともありません。このようなミーティングの時間を確保・維持することで、そのリモート社員の関わっているプロジェクトについて逐次アップデートすることが可能になります。一定の頻度でミーティングの場を設けることは、サポートを提供する場としても機能することから、信頼の構築にもつながります。可能な限り、1 対 1 のミーティングはビデオ会議で行うと良いでしょう。

4. 顔合わせの時間を捻出する

機会があれば、実際に社員どうしが顔を合わせる機会を作る設定するとチーム士気が高まり、リモートワーカーが会社の文化やチームとつながる よいチャンスになります。リモート社員が同じエリアにいる場合は、毎週または隔週の対面会議をスケジュールすると良いでしょう。リモート社員が世界中に広がっている場合、年に一度程度、チーム単位での遠足やチームが全員出席するカンファレンスなどを開催することで、より強固なチームとのつながりを構築するのに役立ちます。

WeWork 131 Finsbury Pavement (ロンドン)

リモート社員との時間を最大限に活用するよう心がけましょう。仕事の話も良いですが、個人的なつながりを作る時間であることも忘れずに。昼食に外出したり、オフィスの外で何か楽しいことをして打ち解け合い、お互いの距離を縮めるのに役立てましょう。 

5. 異なるタイムゾーンの社員のスケジュールに注意する

自分の上司が夜 9:00PM に毎週の会議をスケジュールしたら誰もが嫌がるでしょう。リモート社員とのミーティングを設定したり、メッセージを送信する場合、その人がどのタイムゾーンにいるかを考慮するべきことは言うまでもありません。お互いの勤務時間が重ならないタイムゾーンで仕事している人とのミーティングは、どちらかだけが不利にならないよう、通常の勤務時間外に会議に参加するのは交代制にするなどの工夫も考えましょう。今週のミーティングは自分にとってかなり遅い時間だったので、次の週は相手が早い時間にアクセスする、というように。 

メッセージを送信したあなた自身は翌朝まで彼らが返答することを期待していなくても、彼らはオンラインに戻らなければならないというプレッシャーを感じてしまうかもしれません。勤務時間や、要件に対する返答期限などを明確にすることは、このような問題を軽減するのに役立ちます。

6. リモート社員に疎外感を感じさせない

リモートチームのマネージャーが直面する難しい課題のひとつとして、リモート社員が会議などで疎外感を感じないようにすることが挙げられます。特に、チームの一部がリモートではない場合、これは特に重要です。「まるで会議の場に居合わせているように、スクリーン上の人が会議室内の人ときちんとアイコンタクトができるような座り方や配置を考えるべきです」、と WeWork で職場でのつながりについて担当する Lakshmi Rengarajan は説明します。オフィスにいれば、ある問題について素早く解決方法を探ったり、プロジェクトを計画したり、アイデアについてブレインストーミングをするなど、突発的なミーティングを開催することは簡単です。でも、リモート社員はそのような会議に招待されなかったり、招待されてもビデオ会議のオプションがなかったり、会議が勤務時間外にあるため、このような即席の会議から除外されてしまうこともしばしばです。 

WeWork Javier Prado Este 476(リマ)

この課題に対処するには、すべての会議をリモートフレンドリーにするために最善を尽くすべきです。つまり、すべての会議の招待にはビデオ通話のコールインオプションを含め、またミーティングはなるべく事前に計画することが肝心です。もし、どうしても即席ミーティングを開催しなければならない時は、詳細なメモを取り、リモート社員にフォローアップしてきちんと情報を伝え、質問や不明な点が無いかを確認するようにしましょう。

7. プロとしての信頼関係や柔軟性を確立する

リモート社員を管理する場合、日常的な監視は行われないことから、プロフェッショナルとしての信頼を構築することが重要です。社員の様子を実際に確認できるように努力することは、信頼関係の構築につながります。また、定期的に 1 対 1 のミーティングを行い、チームの作業負荷について把握するよう心がけましょう。 

また、柔軟であることも重要です。リモートワーカーの多くは、働く場所や時間の点で柔軟性を維持するためにリモートでできる仕事を探しています。これは、彼らがコンサートに行っている間に電話から仕事をするべき、と言っているのではありません。そうではなく、各社員が自分に適した勤務時間を決定することを支援し、その時間内に仕事を完了させると信頼することを意味しています。 

8. 研修プロセスをうまくやる

新しい仕事を始めるのは誰にとっても恐ろしいことですが、あなたが同僚と同じスペースにいない、または同じ仕事のスケジュールを共有していない場合は特に顕著です。最初の 研修プロセス は、仕事上でこれから何が起きるのかについて的確な情報を共有するものですが、プロセスを上手に行うと、リモート社員をエキサイトさせ、モチベーションを引き上げることができます。可能であれば、研修プロセスの間にリモート社員と対面する時間を設定しましょう。これは、信頼を構築という利点もありますが、ロジスティクス的にもこの方が簡単です。それが不可能な場合は、トレーニングのための書類には十分すぎるほどの情報を掲載し、さらに会社として標準的なトレーニングプロセスが設定されていることを確認しましょう。最初の数週間は、スケジュールが許す限り、毎日の終わりに新入社員の様子をチェックすることで状況を共有し、質問に答える時間を設けるようにすると良いでしょう。 

WeWork 6 Jiuxianqiao Lu(北京)

9. コラボレーション方法を見つける 

リモート社員が一人で担当できるタスクを与えるのは簡単なことですが、他の人とコラボレートする必要のあるプロジェクトを与えることで、チームの士気を高め、リモート社員にインスピレーションを与える ことにつながります。チームが分散していても ブレインストーミング したり、問題を解決できる簡単な方法があります。Google ドキュメントで現在進行中のアイデアを共有したり、また Slack でブレインストーミングをホストするのも良い考えです。

10. プロジェクトトラッカーを活用する 

メールでプロジェクトを管理しようとすると、自分も周りの社員も受信トレイが大変なことになるだけでなく、進行状況の管理や追跡が困難です。代わりに、Asana、Airtable、Trello などのプロジェクト管理ツールを使用すると、次のステップ、期待すること、期限、担当などについてチームとの整合性を保つことができます。ほとんどのツールでは、タスクにコメントしたり、タスクを再割り当てしたり、期限を設定したり、ドキュメントやコンテンツを添付したりできます。メールでプロジェクトを調整する場合、細かい部分が多々抜け落ちてしまう危険があります。プロジェクト追跡ツールに移行することで、受信トレイを混雑させることなく、リモート社員であってもプロジェクトの進行状況を視覚的に確認できるようになります。

11. 目標を設定する 

期待することやガイドラインだけでなく、リモート社員にはまた、目標を設定する必要があります。リモート社員であってもなくても、それに向かって仕事している、というような長期的な目標がなければ、やる気やモチベーションを失い、最低限の作業だけをする、というような状況に陥りがちです。社員を 仕事に従事 させ、 生産性を高く保ち、チームの一員であると感じさせるには、一人一人が自分の役割における成功とはどんなものかが見えていること、そして彼らの目標がチーム全体の目標にどのようなインパクトを与えるのかについて理解していることが重要です。 

12. 会社やチーム全体の目標を伝える 

リモート社員だけでなく、すべての働く人にも当てはまることですが、誰もが自分が取り組んでいる個人的な目標を持っているべきです。しかし、会社またはチーム全体の目標についてオープンで明確にすることで、社員が自分の個人的な目標が、会社やチームのそれとどう関係しているのかの理解につながります。リモート社員にとって、これは特に重要です。なぜなら、自分はたとえリモートであってもチームの大事な一員であり、忘れられた存在でないことを思い出させてくれるからです。チームリーダーにしてみれば、企業の大規模な目標はもう聞き飽きているかもしれませんが、そのような情報がリモート社員にまで伝わるとは限りません。 

13. バディシステムを登用する 

チームの一部がリモートで、残りの社員はオフィスにいる場合、リモート社員とオフィスで働く社員をペアリングすることで、リモート社員が 社内からのサポートを受け、つながっている と感じ、伝えるべき情報が漏れることのないようにできます。もちろん、このオフィス内の社員は、リモートワーカーのマネージャーであるあなたの代役となるものではありません。また、ペアリングすることでオフィス内の社員が引き受けることになる余分な作業についてもきちんと認識する必要があります。でも、全体的にこの戦略は、コミュニケーションのほつれを未然に防ぐことにより、より生産的なチームの構築につながります。 

WeWork Carrera 11B(ボゴタ)

14. 気軽な交流の時間を設ける 

仕事に関係のないことについてのカジュアルなお喋りは、社員どうしの親密な関係を築き、チーム全体の雰囲気づくりにも役立ちます。もちろん、リモート社員の場合、チームが集まるドリンクコーナーや、オフィスのスナックの在りかなどに居合わせることはできません。もし、多くのリモート社員が同じ サテライトオフィスで働いている場合、彼らのオフィスとチームのオフィスをウェブカメラでつなぎ、一緒に働いているように感じさせることができます 。これは最初は奇妙に感じるかもしれませんが、1、2 週間もすれば違和感を感じることもなくなるでしょう。実行する場合は、ウェブキャストが両方向になっていることを確認しましょう。片方だけでは、まるであなたがリモート社員をスパイしているように感じられてしまうかもしれません。 

オフィスの環境的にウェブキャストに対応できない場合や、ほとんどの社員が自宅から勤務している場合は、仕事に関係のないお喋りを促進する方法を考えるべきです。たとえば、各ミーティングの前には社員一人一人に連絡入れてもらうようにし、その時の気分や、週末に何をしたのかなどを報告してもらうのも一案です。または、 Rengarajan が推奨 しているように、「遠く離れた同僚に手を差し伸べて『ランチタイムはビデオでチャットしましょう』など誘ってみる」のも良いアイデアです。

15. 賞賛を送る

リモート社員は時に、自分の仕事が人目に触れたり、認識されたり、賞賛されていないような気分になることがあります。そのため、リモート社員が良い仕事をした時は、きちんと声をあげて認識するよう心がけましょう。メールやミーティングなど、チーム全体の前で彼らに賞賛を与え、リモート社員の仕事が意義深く、チームとしてのゴールにインパクトを与えていることをきちんと評価するのです。ポジティブな フィードバック は、良い仕事をし続けるための優れたモチベーションなのです。 

16. 適切な人材を雇う 

誰もががリモート仕事に向いているわけではありません。そして、それでいいのです。リモートワーカーはより自立していて、課題にも自力で取り組むことができ、生産性を発揮できる環境が整っている必要があります。リモート社員の採用時には、彼らが独立して作業ができることがわかるような質問を用意しておきましょう。どこで仕事をするのか、電話をかけることのできる静かな場所があるのか、しっかりした WiFi へのアクセスはあるのか、など。彼らが必要とするスキルを教えるために、隣に座ってトレーニングすることはできないので、彼らがあなたのチームで成功するために必要なスキルに自信があることを確認しましょう。 

Jenna Wilson は、WeWork のソーシャルメディアチームのシニアアソシエイトで、Ideas by WeWork のライターでもあります。インパクト、サステナビリティ、そして世界の WeWork の従業員などが主なトピックです。

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