オフィスフロアプランを刷新した例

コロナ禍でオフィスがどのように刷新されるか:密度を下げる、分散化する、あるいは新たなコラボレーションハブへと変える

新型コロナのワクチン接種者が着実に上昇傾向にある中、業界の専門家、コンサルタント、CEO は、安全な職場復帰の方法について議論しています。その中で、既存の不動産スペースを見直そうと、いくつか重要な戦略を採用する例もあります。

WeWork は、これらの刷新を行うにあたり、エンタープライズメンバー企業と緊密に協力してきました。「オフィスデザインの傾向が一直線ではないので、『完全に元通りになる』ことはありません」と語っているのは、ニューヨークの WeWork に勤めるプロジェクト・エグゼクティブのアシュリー・ホーマンです。「パンデミックの期間中に実施した対応は、今後も私たちがワークスペースとどのように関わり合うかを示す例になるでしょう」。

エンタープライズメンバー企業の典型的なフロアの例。写真:WeWork

ほとんどの調査では、人々はオフィス出勤とリモートワークを組み合わせた方式を望んでいることが明らかになっています。新しい勤務スタイルは、恐らく、オフィス出社と他の場所からリモートで働くハイブリッド方式になるでしょう。これは、オフィスのレイアウトや機能について一から見直すよい機会となります。

これは突き詰めると、オフィスの密度を下げ、分散化し、コラボレーションハブに変えるという 3 つの主要な戦略に絞られます。この戦略は、単独または他の方針と併用して実施できます。この記事では、これらの戦略を実践してどのようにオフィスフロアを刷新するかを詳しく紹介します。

密度を下げる

スペースの密度を下げるには、人数制限の実施が必要です。物理的にデスク同士の距離を離すか、オンサイトで業務する時間をずらすなどの戦略が考えられるでしょう。オフィス勤務日を交互にすると、オフィスで一度に働く従業員の数が減り、空いたスペースで特定の活動を行えるようになります。

「これは、デスクの数を減らし、全従業員を 2 つのグループに分けて交互に出勤させるか、またはホテル方式へ移行するという方向になるかもしれません」とホーマンは言います。ホテリングまたはホットデスク方式とは、2 人以上のユーザーが決められたワークステーションを共有するスタイルです。使う曜日を交互に設定するなどし、間に清掃が行われます。使用されていない椅子やワークステーションは取り払うことができます。さまざま決まりごとを表示した標識やステッカー、案内標識などのツールを使って、ソーシャルディスタンスを徹底します。

上のイラストが示すように、基本的なレイアウトは変更されないため、密度を下げる戦略が最も実施しやすい戦略です。密度を下げる前と後のフロアプランを比べると、変更前は 8 人で使用していたテーブルを変更後は 4 人で使用していることがわかります。そのため、隣の人との距離が空き、ソーシャルディスタンスが保たれます。全従業員を 2 つのグループに分け交互に在宅勤務させると、必要なワークステーションの面積は半分になります。

「目標は、スペースを利用する人たちが広々と利用できるようにすることです」とホーマンは言います。

オフィスの分散化

従来型の大規模な本社を持つ企業は、より多くの従業員をサテライトオフィスに移すことで恩恵を受けられます。

ホフマンはこう語ります。「会社を機能させるために従業員全員を本社に集める必要はありません。企業は自社の不動産ポートフォリオを再考して、各チームにとって便利で魅力的なソリューションを提供しています。これは、本社の面積が縮小されることを意味するでしょう」。

ニューヨーク市にある WeWork 本社は、このシステムがどのように機能するかを示した典型的な例です。パンデミック以前は、ほとんどの従業員はチェルシーの本社ビルに出勤していました。それを分散化させるため、WeWork はブルックリン、ダウンタウン、マンハッタンのミッドタウンの 3 か所にサテライトオフィスを設置しました。オフィスが増えたことにより、従業員は自宅に近いサテライトオフィスを選択でき、通勤時間を短縮し、ワークスペースの柔軟性を高めることができました。

同じ戦略を、アジアの主要都市に本社を置くグローバル保険会社が採用しました。同社には、密度を下げる必要のある不動産がありませんでした。その代わり、分散化によって都市全体に一時的にサテライトオフィスを開設し、業務を継続することができました。

コラボレーションハブの構築

コラボレーションハブモデルでは、ワークステーションを何列も取り除くことができ、そのスペースを別の目的で利用し、コラボレーションを促進することができます。たとえば、ミニ教室のような設定でオンボーディングやトレーニングを行うエリア、アイコンタクトやインタラクションが促進される円卓テーブルを設置した学びのエリア、またはカジュアルな座席配置のアクティブコラボレーションゾーンなどです。

「コラボレーションハブは、既存の不動産を活用する必要性に応えるかたちで生まれました。現在抱えるニーズや予測されるニーズに対応できる多様なスペースを提供します」とホフマンは述べています。

日本のキャッシュレス決済サービスである PayPay は、まず自宅でできるタスクは出社せずに自宅で行うことにし、それに合わせてコラボレーションハブを構築しました。その後、アクティブコラボレーションのエリア、学習ゾーン、コミュニティ/ソーシャルゾーンなど、目的別にゾーンを設置しました。PayPay では生産性が向上し、従業員の 90% が効率がアップしたと報告しています。

コラボレーションハブでは、専門家の集まるスポークを構築することもできます。それぞれのスポークは、アイデアを交換するために集う場所として機能します。各スポークには、集中して仕事をするワークエリア、雑談エリア、会議エリア、さらに電話での通話に最適なセミプライベートオフィスが完備されています。

「従来のオフィスの役割が大きく変わっています」とホフマンは言います。「メンバー企業は、仕事内容に応じたエリアを設置できます。これにより、以前は不可能だったコラボレーションができるようになりました」。

オフィスや働き方の未来について考えている誰もが、過去には戻れないことを実感しています。従業員とビジネスリーダーは、どこで、どのように働くかについて、以前より柔軟になることの必要性に気づいています。

「古いモデルに縛られていると、企業は時代遅れのソリューションを実行しようとし、そうすると企業文化が損なわれ人材を逃すことになります」とホフマンは言います。「自由に、あるいは先見の明を持って、機敏に対応できる会社が有利になっていくでしょう」。

昨年、仕事や日常生活の多くの面が停止またはスローダウンしました。今回のパンデミックで明らかになったのは、バーチャルな環境で仕事はできても、少なくとも週に何日かはオフィスで共同作業をすることで得られるインスピレーションやイノベーションにはかなわないということです。

Scott Sowers はワシントンD.C. に拠点を置くフリーランスのライター。不動産、建築、デザイン、エネルギー、自動車産業をテーマに執筆しており、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、アトランティックなどの媒体に寄稿しています。

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